こんにちは。
ディクレターの田辺です。
ご存知の通り、MA(マーケティングオートメーション)は、ECサイトの運営において重要な要素です。
そして、ShopifyにおけるMAの実現方法は、3つあると考えています。
- Shopify標準のMA機能を利用する
- Shopify Flowと、MAアプリを組み合わせる
- Shopifyアプリが提供するMA機能を利用する
Shopify Flowを利用していると、ついつい「なんでもShopify Flowでやってしまおう」思考に陥りがちですが、Shopify標準のMA機能でも、Shopify Flowと同様のフローを組むことができます。
今回は、Shopify Flowを利用せず、Shopify標準の機能だけでできるMA機能をご紹介します。
その前に、少し寄り道してShopify Flowを利用したMAの注意点についても触れておきます。
Shopify Flowを利用してMAを組む場合の注意点
Shopify Flowを利用する場合の注意点とは、Shopify Flowに標準的に備わっているメール送信アクションは「Send internal email」だけであり、このアクションによるメールの送信先は、Shopify Flow上で設定したもので固定されてしまう、ということです。
つまり、Shopify Flowの標準的な機能では、下記のようなことはできないということです。
- トリガーを「Order Created」に設定
- 注文が発生した際、その注文を行った顧客のこれまでの注文の合計金額が10万円以上の時、クーポンつきメールを、その顧客に送信する ← これができません。
Shopify Flow標準のメール送信アクション「Send internal email」に、上記の「顧客のメールアドレス」を渡す方法がありません。
「Send internal email」は、Shopify Flow上で設定した特定のメールアドレスにのみ、メールを送信するアクションなのです。
そのため、Shopify Flowを利用してMAを組む場合は、KlaviyoやOmnisendといったMAアプリを利用します。
これらのMAアプリは、Shopify Flowのアクションを提供しており、Shopify Flowとこれらアプリを連携することで、対象の顧客に任意のメールを送ることができます。(メール自体は、KlaviyoやOmnisendから送信されます。)
また、こういったアプリは、Shopify Flowと連携しなくても、それ単体でMA機能を有していますので、特別なフローを組む必要がなければ、Shopify Flowを利用するまでもなくMAを組むこともできます。
Shopify標準のMA機能を利用するメリット
まず、Shopify標準のMA機能の設定方法ですが、
ストア管理画面 > マーケティング > 自動化 にアクセスいただけば、あとは直感的にお分かりいただけるかと思います。
この機能を使うメリットは、Shopify Flowを利用する場合の注意点の裏返しでもあります。
Shopify標準のMA機能のメリット
- Shopify メール をインストールしている前提にはなりますが、フローによって対象となった任意の顧客にメールを送信できる
(Shopify Flow単体での利用とは異なり、注文が発生したら注文をした顧客にメールを送る、ということがShopify標準のMA機能では可能です。) - オートメーションのテンプレートが複数用意されており、比較的簡単にMAを導入できる (テンプレートの例)
- Shopify Flowと全く同じUIでフローを作成可能
2番目の「オートメーションのテンプレートが複数用意されている」について、どのようなテンプレートが用意されているかは、下記のページに記載があります。
https://help.shopify.com/ja/manual/promoting-marketing/create-marketing/create-marketing-automations#types-of-automations
カゴ落ち、チェックアウト放棄、商品ページ離脱、購入後のお礼、といった典型的なMAは既に用意されているので、テンプレートからオートメーション作成し、ご要望に合うようにカスタマイズするだけで使用できます。
もちろん、テンプレートを使わずゼロからオートメーションを組むこともできます。
最後の「Shopify Flowと全く同じUIでフローを作成可能」についてですが、下図のようなUIでフローを作成できます。Shopify Flowそのものですね。
Shopify標準のMA機能を利用する場合の注意点
高機能かつて底コストで導入できるおすすめの機能ではありますが、しかし、導入に際して、注意した方が良い点もあります。
- メールテンプレートの中に、顧客名や購入した商品名などを差し込むことはできない
(一部のオートメーションでは対象の商品をメールに差し込むことができます。カゴ落ちやチェックアウト放棄などです。しかし、購入をトリガーとしたオートメーションを作成した時、その購入商品をメール文面に含ませることはできません。) - Shopify メールで作成できるメールテンプレートはHTML編集ができないため、デザインの自由度は高くはない
(そうは言っても、そのテンプレート自体が洗練されているので、そこまで困ることはないかもしれません。) - 顧客が「メールを受信することを許可」していないとメールを送信できない
- 注意点というより補足ですが、Shopify Partnerに登録されている場合、何かを実装する前には、まず「開発ストア」で実験すると思います。しかし、「開発ストア」では、「Shopify メール」で作成したメールを下書きから公開に変更することができないため、「開発ストア」ではMAのテストができません。
2023年8月10日追記
Shopify メールのHTML編集が可能になる予定です。現在、早期アクセスのため、一部のストアにしか解放されていませんが、0からメールをコーディングできるようになります。https://help.shopify.com/ja/manual/promoting-marketing/create-marketing/shopify-email/create-email#create-coded-email
まとめ
Shopify標準のMA機能も日々進歩しており、例えば一昔前には、Shopify標準のMAでは「カゴ落ち」はできないというのが通説でした。(チェックアウト放棄しかありませんでした。)
しかし、現時点ではカゴ落ちが実装されています。
「しばらく前にShopify標準のMA機能を試してみたが、その時は要件に合わなかった」という方ももう一度確認してみると、たくさんのアプリを連携してやっていたことが、Shopify標準の機能だけですっきりとまとめられるかもしれません。
それでは。